慈愛のケモノ

後日談、ではないけれど、始業前に職場でメールチェックをしているとデスクを叩かれた。驚いて跳ねるようにしてそれを見上げる。

「おはよ、真希」
「琉花ー! 良かった無事で!!」

抱きついてくるものだから、前の席の先輩がぎょっとこちらを見てきた。
というより、周りの席の人たちの視線が向いている。

「ちょ、ちょっと出よう」

真希の腕を引っ張って、フロアを出た。
目についた給湯室に入ると、ちょうど誰もいない。

「電話したでしょう、大丈夫だって」
「水本さんが、遠月さんはちょっと変なとこあるって、大丈夫かなとか言ってたから!」

声が大きい。

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