慈愛のケモノ

肩をがっと掴まれて、私の顔を覗き込む。

「変なこと、されてない?」

変なこと。
ヘンな、こと。

「……ないよ」
「今の間はなに?」
「遠月さんと、付き合うことになった」
「え!? 嬉しいけど喜べない!」

それはまた複雑な。

「水本さん経由で琉花のことすごい訊いてくるから狙ってるのは知ってたけど、なんか喜べない」
「知ってたの……」

真希ですら知っていたのに、あのときの私は勝手に思い込んで考えていたのか。

「あんなメッセージ送られてきて、怖かった」
「あれは、ほら、いつもの感謝を」

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