強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
でも持ち方がいけなかったのか、急に手の力が抜けポットがおかしな方向に傾いてしまう。沸騰したてのお湯が口元からとびだし、左腕にかかった。

「熱っ!」

ポットはそのまま床に落ち、床を濡らした。幸い湯が足にかかることはなかったけれど、左腕はじんじん痛む。

「大丈夫か!」

私の声を聞いた八雲さんが、血相を変えて駆け寄る。赤くなっている私の左腕を見ると手を掴み、蛇口から水を出して私の腕を冷やし始めた。

「バカだな。ホント、何してるんだよ」

「すみません。でも少しかかっただけだし、大丈夫ですから」

「大丈夫なわけないだろう! おまえは女なんだぞ、肌に傷でも残ったらどうするつもりなんだ」
 
どうするつもりも何も顔じゃないんだし、さほど心配することでもないと思うんですけど……。

でも八雲さんの顔は怒ったままで。「このまましばらく冷やしておけ」と言って、部屋から出ていってしまった。

私のバカさ加減に呆れて、どこかに行ったのかも……。


< 175 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop