強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
世の中の女性はみんな、こんなデートをしているの? これがデートの始まりなら、この先はどうなってしまうのか。

不安と期待が交錯し戸惑うばかり。
 
きっと八雲さんは恋愛経験が豊富で、デートなんて朝飯前なんだろうけれど。恋愛初心者で初デートの私が、明日のためとは言え一日で八雲さんの恋人になれるのだろうか。
 
心配しかないよ……。
 
思わず、憂鬱のため息が漏れた。

「何? 芳奈は俺と、キスしたくない?」
 
車はすでに走り出していて、八雲さんはまっすぐ前を向いたまま私におかしな質問を投げかける。まさかそんなことを聞かれるとは思ってもいなくて、八雲さんの横顔をまじまじと見つめた。
 
きっと私がため息をついたから、そんなことを聞いたんだと思うけれど。どう返事をすればいいのか、答えに戸惑ってしまう。

「よ、よくわかりません」
 
それが今の正直な気持ちというか、きっと誰だって、そう答えるよね?


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