強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
「だって芳奈、心ここにあらずって感じだったから。ねえ、なに考えてた?」
 
そういう八雲さんの顔は、何もかもお見通しと言わんばかりで。またからかわれているのだと唇を尖らせる。

「八雲さん、それわかって聞いてますよね?」

「え? 何が? 俺のこと何か疑ってる? 明日どうなっちゃうんだろう……なんてひとりで心配してるとか、俺全然わからないんだけど」

「え……」
 
それってやっぱり、全部バレバレってことじゃない!

「もう、八雲さんヒドい!」
 
彼の胸をボンと押し、頬を膨らませてそっぽを向く。背後から笑い声が聞こえたかと思うと背後から抱きしめられ、私の肩に顔を乗せた八雲さんが頬を擦り寄せた。

「ごめん、芳奈。そんなに怒るなよ」

「な、な、何して……」
 
甘い言葉に甘いスキンシップ。触れている頬がじわりと熱くなる。

「ちょっとした喧嘩の後のハグって、恋人同士って感じがしていいと思わないか? それに周りから見られて恥ずかしがってる芳奈は、ものすごく可愛いし興奮する」
 
こ、興奮って……。
 
しかも、ものすごく可愛いとか。八雲さんどうしちゃったの?


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