今日、魔法使いに飼われました
美砂がそう言うと、「この人間はずいぶん反抗的だな」という声がする。美砂は「あんたたちも人間でしょ!!自分がもし誘拐されて、オークションで売られることになったらニコニコしてられると思う!?」と客席を睨みつけた。

「ええい、黙れ!!お前を高額で買い取ってもらわないとこっちの商売が成り立たないんだ!!」

死神に肩を掴まれるが、美砂は「返して」というのをやめない。恐怖から黙っていることなどできなかったのだ。

「この!!」

死神が手を振り上げ、殴られると美砂は目を閉じる。しかし、衝撃はいくら待っても来なかった。

美砂が目を恐る恐る開けると、地面から木の枝が伸びて死神の手に巻き付いている。会場は一瞬にして静まり返った。

「ふう〜……。危なかったぁ」

舞台の上に白い髪の男性が上がってきた。そして、「大丈夫?」と美砂に話しかける。美砂がコクリと頷くと「よかった」とふわりと笑顔を見せた。その刹那、舞台に黒髪に青い目の男性が登場する。そして、美砂を抱き寄せて言った。
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