俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 近づくと、彼女はなにかを抱きしめていた。
 洋服の片づけでもしていたんだろうか。

「綾花。こんなところで寝ていたら、風邪ひくぞ」

 声をかけると、「ん……」という吐息とともに、長いまつげがわずかに震えた。
 ぼんやりとした視線が次第に焦点を結び、俺を見上げる。

 綾花は寝ぼけた口調で「貴士さん……?」とつぶやき、不思議そうに首をかしげた。

「どうして貴士さんがここにいるんですか?」
「綾花がひとりでさみしがっているんじゃないかと思って帰ってきた」
「私のために?」
「それに俺も、少しでも早く綾花に会いたかった」

 俺が言うと、綾花は動きを止めなにか考えるように黙り込む。
 しばらくしてから、「そっか、これは夢か」とつぶやいた。

「夢なら、意地を張らなくてもいいんだ……」

 なにを言っているんだろうと思いながら見守っていると、綾花は花が開いたように明るい笑顔を浮かべる。

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