俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 慌ててうつむき付け加える。

『それに、あの人たちの言い分も間違ってないと思いますし……』
『葛西家の忖度と話題作りのために綾花を受賞させたって?』

 彼の言葉に首を縦に振ると、大きなため息が降ってきた。

『バカだな。あんなのただの妬みだ。非難するのは一部の人間だけで、みんな綾花の実力に納得してる』
『でも……』

 顔をしかめた私を、貴士さんが身をかがめのぞきこむ。
 言葉の続きを促すようにみつめられ、私は口を開いた。

『私のせいでこの賞や葛西家まで悪く言われるのは、悔しいです』

 そう言うと、貴士さんは意外そうに眉をあげた。

『自分が貶められるよりも、他人のことで怒っているのか。案外気が強いんだな』

 ふっとゆるんだ表情に、思わず目を奪われる。

 貴士さんは控室のドアを乱暴に開けた。
 大きな音に振り返った受賞者たちは、私と貴士さんの姿を見て慌てて口を閉ざした。

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