俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
「まぁ、どこの馬の骨かもわからない芸術家と結婚なんて、葛西家全員反対しているらしいけどな」

 そりゃそうだろう。
 葛西家は、恋愛結婚すら諦めざるをえないくらい保守的な家だ。
 結婚して海外で暮らすのがすんなり許されるわけがない。

「渚沙は最初から説得するのをあきらめて、渡米して既成事実を作ってしまおうと企んでいるらしいぞ」
「既成事実、ですか?」
「頭の固い葛西家の年寄連中も、かわいい孫の顔を見ればさすがに態度を軟化させるだろうって」

 とんでもない爆弾発言をさらりと口にした貴士さんは「渚沙らしいよな」と肩をあげる。

 つまり姉は、貴士さんとの婚約を一方的に破棄して、ほかの男の人とアメリカに駆け落ちしようとしているってこと?

 そう理解して、すとんと腑に落ちた。

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