俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 今日は貴士さんがいるからといつもより玉子をたっぷり使った、大きめの厚焼き玉子だ。

「はい」
「はい?」

 はいって、なにが? 意味が分からず顔を上げると、貴士さんは私を見て微笑んでいた。

 え。これはもしかして、食べさせてくれるってこと?

「ほら早くしろ」
「ま、待ってください……」

 彼の差し出した玉子焼きをあーんと口を開けて食べるなんて、ラブラブな恋人同士みたいなこと、できるわけがない。

 どうしていいのかわからなくてうろたえていると、貴士さんはさらに笑みを深くする。
 そのすこし意地悪な表情がたまらなく色っぽくて、鼓動が速くなっていく。

 どうやら彼は、その玉子焼きを引っ込める気はないようだ。
 ということは、私が食べる以外にこの状況を終わらせるすべはない。

 覚悟を決めてぎゅっと目をつぶり、口を開ける。
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