荒野を行くマーマン
「そもそもパート自らが「責任ある仕事をしたくないからこの働き方を選んだ」って堂々と公言してたりするじゃんか。無理矢理擁護してやらなくても良いんじゃね?」

「だ、だって、そういう方を引き合いに出して、運動部員さん達と共に見下すような発言をするから…」

「見下す見下さないじゃなくて、確固たる事実を述べただけだから。つーかそもそも広告塔って言ったって、これといった成績を残してないうちに怪我してやめちまったじゃねーかよ。ホント、何しに入って来たんだか」

「ちょっと、声が大きいよ」

「大丈夫だろ。個人名を出してる訳じゃないんだし。しかも個室なんだから」

岩見君は悪びれた様子もなくそう返答すると、再びビールを口にした。

確かに彼の言うとおりこのエリアは壁で仕切りがあり、引き戸もついていて個室状態にはできるけれど、完全なる防音という訳ではないし、名前を出さなくても聞く人によっては充分分かってしまう。

そもそも発言の一つ一つがあまりにも失礼過ぎる。
しかし彼には何を言っても無理そうで、いい加減疲れてしまったので無難に話を終わらせる事にした。


「とにかく、すごく真面目で良い人だから。私にできる事はやっていくつもりだよ」

「そんなん、最初のうちは猫を被ってるに決まってるだろ。簡単に気を許すなよな」


そこで続々と料理が運ばれて来たので期待通りその話題は終息した。

大好物らしいアスパラとチーズのベーコン巻きに、ご機嫌に箸を伸ばす彼を見ながら私はこっそりとため息を吐く。
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