荒野を行くマーマン
私だって先輩に色々教わってここまで来たんだから、これからはそれをきちんと還元していけるように気を付けなくちゃ。


「あ、そうだ。せっかくだからコーヒーでも飲みます?」


自己反省を終えたところでふいに思いついた。

休憩や休息時間に関係なく、飲み物は好きなタイミングで好きな物を飲んで良い決まりである。

会社内には一つの階ごとに必ず一カ所給湯室と、そこに隣接する形でリフレッシュルームと呼ばれる飲食ができる部屋が設けられていて、その中に数種類の飲み物が入っている給茶機とコンビニにあるような一杯ずつ淹れるタイプのコーヒーマシンが置いてあるのだけれど、そのコーヒーがなかなかのクオリティーで、社員の間では大変好評なのだ。

私も入社当時『こんな美味しいコーヒーを無料で飲み放題だなんて』とえらく感激したものだ。


以前魚住君が勤務していた川崎製作所にも当然同じ機械が置いてあり、美味なそのコーヒーを久しぶりに口にした魚住君はしみじみと呟いていた。


「またこれを飲める日が来るなんて感慨深いです。ここまで長かったな…」


それを聞いた瞬間、なんとも言えない感情が込み上げて来たのだった。

『もう、これから何杯でも、遠慮なくじゃんじゃん飲んじゃって下さい!』と思った。


「出勤してさっそく飲む方、結構いるんですよ。家のコーヒーより断然美味しいから、ここに来るまで我慢しているらしくて。私も毎日ではないけどシャキッとしたい時は飲んでます」
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