無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

「あげる」

「え? 高瀬のじゃないの?」

「もう一個あるから大丈夫だよ」

「わーい」

カイロを受け取ってコートのポケットへ。

反対側の手は、高瀬にギュッと握られた。

「これでどっちの手も冷たくないでしょ?」

「う、うん……!」

なんて優しいの。

嫌われたかもなんて、わたしの勘違いだったと思うほどに。

ショッピングモールの映画館で映画を観て、そのあとはパスタ専門店に入ってランチした。

向かい合って座ると、高瀬があからさまに顔をそらして。

じーっと見つめていると、わざとこっちを見ないようにしてるのか顔に力が入ったのがわかる。

「やっぱり変。なんなの?」

絶対なにかある。

「なんもないよ? それよりメニュー決まった?」

……うそ。

なんもないって顔してない。

どうしてわたしにはなにも言ってくれないの?

お店を出てからなんだかギクシャク。

あんなに楽しみにしてたのに気持ちは半減してしまった。

歩いてたらさり気なく手を握られそうになったけど、カバンの中を探るフリしてとっさに拒否した。

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