エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
「彩葉の気持ちはわかった。だが、俺としてはこのまま傍観しているわけにはいかない。俺だけじゃない。彼も――」

「――彼?」

私は尋ねるが、透佳くんは沈痛な面持ちでかぶりを振る。

「俺がどうにかする。だから、明日はとにかく休んでくれ。お願いだ」

「……わかりました」

明日は無理を言って休むしかないだろう。部長は嫌な顔をするかもしれないが、透佳くんの悲しい顔を見るよりかはマシだ。

「彩葉」

名前を呼びかけられ見上げると、その瞬間、唇を塞がれた。

甘いキス。いつも以上に緩慢な動きで私の唇を舐め溶かす。

今日はどうしてこんなに優しいのだろう。舌も差し入れてこないし、貪るように食んだりもしない。

いつものキスとはちょっと違う。まるで私を気遣ってくれているよう。

「透佳、くん……どうして……いつもと……なんか、違……」

「……あんまり驚かすと、彩葉が壊れてしまいそうで、怖いんだ」

それは私の心臓が弱っているから? さすがにキスで心臓が止まるというのは、比喩以外で聞いたことはないけれど。
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