エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
「彼にだって、妊娠のことを知る権利があるはずです」

今度は教授に向かって語りかける。けれど、教授は取り合うつもりがないらしく、かぶりを振った。

「適当に言ってごまかしてもらいたい。こういうのはどうだろう。うちの息子と付き合っているとでっち上げて――」

「それ、すでに使ったんですが、効果がなかったんです」

しゃあしゃあと言って肩を竦める沢渡先生。教授は腹を立てたようで、険しい表情で息子を睨みつける。

「本当に役立たずな息子だ。医者としても未熟、雑用すらままならないとは」

ぐっと沢渡先生が歯を食いしばる。

いくらなんでも、それはちょっと言いすぎじゃないだろうか。口を挟もうとしたその瞬間。

「やめてください……!」

私の横から声が上がった。今までずっと黙り込んでいた美沙さんが、やっと声を発したのだ。

「もうやめてください、お父さん。亮二はまだ二十九歳です。ずっとアメリカにいた須皇先生と比べるなんて――」

「黙れ美沙」

美沙さんの肩がびくりと震えた。まるで、首筋にナイフでも突きつけられたかのように身体を強張らせる。

どうしてだろう、美沙さんも、沢渡先生も異常に教授に怯えているようで……。
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