エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
バン! と勢いよく扉が開け放たれた。部屋に入って来たのは――。

「透佳くん……!」

私たちは驚いて、椅子から腰を浮かす。

透佳くんはツカツカとこちらへ歩み寄り、私の腕を引いて自分の背中の後ろへと移動させた。

「私の婚約者がずいぶんとお世話になったようですね、沢渡教授。一体どういうことか、説明していただけますか」

「……なぜ、君がここにいるんだ!?」

教授は、犯人探しでもするように、私、沢渡先生、美沙さんと順番に睨んでいく。

透佳くんが呆れた様子で息をついた。

「うちのアホな婚約者が、テーブルの上にこのレストランの名刺と沢渡先生の電話番号を残していきましてね。騙すなら、もっとうまくやれと言ったのに」

ハッとして手で口を覆う。破れた名刺を自室のテーブルの上に、これ見よがしに置いてきてしまったんだ。

一週間前、同じ時間に沢渡先生と密会して怪しまれたばかりだ。

今日も外出と聞いて不審に思った透佳くんが、行き先の手がかりとなるものを探そうとしたのかもしれない。探すまでもなく目の前にあっただろうけれど。

「それで。これはなんの会合です? 先週から彩葉がおかしなことを言い出して困っていたのですが、一体彼女に何を吹き込んだのですか」
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