エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
見るからに不機嫌な顔。いや、心配してくれているのだろうか。

夕べ『もうどこにも行くな』と言わせたそばから、実家に帰るだなんて言い出したものだから。

「そろそろ、顔を出そうかなぁと。それに……」

鮭をつつきながら、もごもご口ごもる。透佳くんは箸を止め、じっと私の言葉を待った。

「……婚姻届け。実家の引き出しに入れたままなんです」

透佳くんが目を丸くする。彼の署名済みの婚姻届け。書くと決めたものの、なかなか取りに帰る機会がなかった。

「とりあえず……その、名前だけでも書いておこうかななんて。帰省がてら、持ってきますね」

少し頬が熱い。恐る恐る顔を上げると、私が照れていることに気づいたのか、彼はプッと吹き出して口元を押さえた。

「別に急がなくていい。いつだって」

「……すぐ、書きたいんです」

彼と一緒になる覚悟が決まった。心の底から、彼とひとつになりたいと思う。もう離れたくないし、誰にも邪魔されたくない。

そのけじめとして、今、書きたいのだ。

「わかった。どうせ俺は勤務だ。実家にゆっくり泊まってくればいい」

「はい!」
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