エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
「そう……かなぁ?」

呆然として、お腹のお肉を覗き込む。

そんなに太った? 確かに増減が激しかったことは認めるけれど。

この家を出たときが、過労で一番痩せていた時だった。

仕事の問題が解決して、体重が戻ったかと思いきや、次は沢渡教授に振り回されてまた食欲が減退した。

それも解決し、すっかり気の抜けた一週間を過ごし今に至る。

リバウンドをひたすら繰り返して、身体に悪い肥え方をしたかもしれない。

「別に太っちゃダメって言ってるわけじゃないのよ? 最初がやつれてたから。今ならちょうどいいくらい」

「……だと、いいんだけど」

この先、幸せ太りが予想される。外食やデリバリーに頼りすぎず、身体にいい和食を作ろうと心に決めた。

リビングのローテーブルに手土産を置き、取り分け用の小皿をキッチンに取りにいく。

「お土産買ってきたから食べよう。そういえば、お父さんは?」

「あら? どこへ行ったのかしら?」

母は日本茶を入れながら、はて? と首を傾げる。

やがて、玄関のドアが開き、ザーッという雨の音とともに、「ただいまー」という父の声が聞こえてきた。
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