エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
「遅れて申し訳ない。オペが長引いてしまってね」

慌てた様子でやってきたのは、透佳くんのお父さまだ。手術が終わって駆けつけてきてくれたらしい。

透佳くんは立ち上がり、心配そうにお父さまを見つめる。

「抜け出してきて大丈夫なのか?」

どうやら患者さんのことが気がかりらしい。そんな透佳くんに、お父さまは朗らかに答えた。

「容体も安定しているし、山下(やました)くんに任せてきたから大丈夫。ここは病院からも近いしね。それに――」

息子の背中をポンと叩き、うちの両親に向き直った。

「患者さんも大事だが、息子の結婚だって大事だよ」

父が立ち上がり、テーブルを回って握手を求める。私と母も続いて起立し、その様子を見守る。

「久しぶりだな。相変わらず仕事が大変そうだ」

がっちりと握手を交わすふたり。透佳くんのお父さまは「いつになったら暇になることやら」と冗談めかして笑っている。

「君の息子が立派に成長していて驚いたよ。昔からしっかりしているなぁとは思っていたが」

「しっかりはしているんだが、頑固でね。なんでも自分ひとりで決めてしまう。手がかからないのはありがたいが、親としては寂しくもあるよ」
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