エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
扉が開いて一歩外に出ると、片側の壁が一面ガラス張りになっていて、壮大な眺めが広がっていた。

すごい景色。……けれど、ちょっぴり足がすくむ。

「お前、高所恐怖症だったのか?」

先を歩いていた彼だが、すかさず私の様子に気がつき足を止める。

「いえ。少し驚いただけです」

気を取り直して彼のあとを追いかけようとすると。

彼が無表情でツカツカと歩み寄ってきて、私の手を握った。指先をきゅっと絡めて引っ張る。

「と、透佳くん……!?」

「怖いんだろう。すぐに慣れればいいんだが。どうしても無理なら言えよ」

「無理だったら……どうなるんですか?」

「引っ越すしかないだろう」

躊躇なく言われて驚いた。賃貸じゃなくて、購入したんでしょう? すぐ売却なんて、そんな簡単にできることじゃない。

「そ、そこまでしなくても、私が我慢すれば済む話なので――」

「彩葉が心地よく住めないのなら、新居を用意した意味がない」

きっぱりと言い放たれて愕然とする。
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