エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
不整脈だなんて、疑われたこともない。なにかの間違いじゃないのかと首を傾げる。

身体だけは丈夫に育ったものだから、これまで、たいした病気もせずに生きてきた。

心臓なんて、健康診断で引っかかったことなど一度もない。

「そりゃあ、急に抱き上げられたらドキドキもしますけど……」

思わず頬を赤くして答えるけれど、「ふざけているわけじゃない」と逆に叱られてしまった。

「頻脈。それから、わずかだが徐脈もあるな。これまで、倒れたりしたことは」

ふるふると首を横にする。彼は深刻な顔で息をついた。

「今日はよく休んでくれ。様子を見る。近々、うちの病院に検査に来い。他に隠れている病気があるかもしれないしな」

「検査なんて、大丈夫ですよ、元気ですから……」

「彩葉」

真面目な顔で叱られ、ぐっと息を呑む。

本当に病気の可能性があるの? 心配しすぎじゃないのかな?

とはいえ、彼は医師。権蔵さんの命を救ってくれた、腕のいい心臓外科医なのだ。

その彼が検査を受けたほうがいいと言うのだから、きっと闇雲に騒いでいるわけではないのだろう。
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