エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
「加藤さんを見てわかっただろう。心臓は命に関わるんだ。放っておいていいものじゃない」

彼の剣幕に気圧されて、こくりと頷く。

ここで『仕事が落ち着いたら……』なんて言ったらきっと怒られるだろうな。

「次の土曜日は仕事を入れないようにして、うちの病院に来い。俺も外来に出るようにする」

「……はい……」

私が大人しく頷いたのを確認すると、彼はエレベーターホールに戻っていった。置き去りにされたボストンバッグと買い物袋を回収する。

バッグの中から早速寝間着を取り出すよう指示され、昼寝を命じられる。

「私も眠りたいのはやまやまなんですが、眠れないんですよ」

「不眠症か?」

「わかりません。うまく寝つけなくて」

一応着替えてベッドに入ってみるも、眠くなる気配はない。

なにしろ、初めての家、初めての枕である。さらに目の前には、熱い眼差しを携えた彼。

心休まるわけがない。

「……あの、落ち着かないんですが……」

とりあえず、この部屋から出ていってほしい。ひとりになれば、もしかしたら眠れるかも? そんな願いを込めてじっと彼を見つめるが。
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