エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
目が覚めると周囲は暗く、ルームランプの光が控えめに辺りを照らしていた。

隣にいたはずの彼がいなくなっている。私はのそのそとベッドから這い出し、部屋を出た。

廊下に出た瞬間、美味しそうな香りが鼻に抜けた。これはトマトと……バジルだろうか? イタリアンっぽいいい匂い。

リビングへ行くと、彼はキッチンに立っていて、フライパンを振るっていた。

「おはよう、彩葉。食事は食べられそうか?」

ブラックのエプロンをした彼。お腹のあたりにトマトソースが跳ねている。

なんだか新鮮でパチパチと瞬きを繰り返した。

壁にかけられたメモリのない時計は、シルエット的に七時半。でもブラインドの外は真っ暗だ。おはようでないことだけははっきりわかった。

「はい。いただきます。いい香りがしますね」

トマトソースが綺麗に絡まったパスタを、彼は真っ白なお皿に盛る。

「トマトなら、さっぱりしていて食べやすいと思って」

「お料理、上手なんですね」

「悪いが、できるのはパスタとうどんと蕎麦だけだ。楽だから」

どうやら麺類専門のようだ。きっとラーメンもいけるだろう。

それなら私は、ご飯もの担当になればいいんだね。生憎、実家暮らしだから、腕はたいしてよくないけれど。
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