みずあめびより
「アイロン終わりました。」

「お茶入れたから、デザート食べようか。」

「すみません。お待たせしちゃいましたね。」

「いや、終わりそうなタイミング見計らって入れたから。」

「ありがとうございます。」

───そういうの、キュンとしちゃうな・・・。

衣緒がローテーブルまで来ると、ソファの前に2人分のお茶とデザートが隣り合って並んでいた。

「・・・!」

───今までご飯の時もテレビ観る時も雑誌見る時も、向かい合わせに座ってたのに、隣に座るっていうこと・・・!?え、どうしよう。いや、ホテルの足湯でも帰りの新幹線でも隣に座ったじゃない・・・。でも、お部屋でっていうのはちょっと意味合いが変わってくるような・・・。意識し過ぎ・・・?

衣緒が突っ立っていると鈴太郎がダイニングからやってきてソファに座った。

「どうした?」

「い、いえ・・・。」

少し距離をとってソファに並んで座ってテレビを観ながらお茶を飲み、デザートを食べる。

「・・・テレビ、何年もちゃんと観てなかったけど、面白いですね。」

衣緒はドキドキする気持ちを抑える為になんとかテレビに集中しようとしていたが、どうしてもすぐ隣にいる鈴太郎に意識がいってしまう。

「いろんな番組あるからな。」

「あと、なんか知ってる芸能人が私がテレビ観てなかった間に歳をとってるから、浦島太郎になった気分。あ、玉手箱開けた後の、ですよ?自分も歳とってますから。」

「・・・。」

───俺は衣緒と一緒に歳を重ねていきたい・・・でも『一緒に暮らしたい』って言ったばかりなのに、こんなことまで言ったら引かれるよな・・・。

鈴太郎はテレビを観る衣緒をこっそり盗み見た。肩を抱き寄せたい衝動に駆られたが、そんなことをしたら止まらなくなってしまいそうで拳を握りしめて抑えた。
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