みずあめびより
───・・・入るって??どこに??まさかここじゃないよね????いや、洗面所でもまずい、上にタオル置いてるけど下着あるし、ドア曇りガラスだし!!

衣緒は浴室のドアの方まで行って体を壁の方に隠しつつ返事をした。

「・・・な、ん、でしょう・・・?」

「あっ?大丈夫?遅いから何かあったのかと思って。」

「大丈夫です!お待たせしてすみません。」

「何もないならいいよ、ゆっくりで。」

彼はそう言って戻って行った。

───あぁ、びっくりした・・・。でもやっぱり私は全く異性として意識されてないんだな。男性の部下と同じだから、入るよ、なんて言われるんだ。そうだよね。私、こんなだし。

再び切なく思いつつ、急いで床を軽くお湯で流すと排水溝の髪の毛をとって洗面所に出た。


鈴太郎は部屋に戻ると思った。

───彼女は仕事と同じで食事とかお風呂とか日常のこともゆっくりペースなのかもな。それか女性だからシャワーでも色々やることがあるのかも。・・・あれ?俺、もしかして今かなりまずい行動とらなかったか!?しまった・・・。昨日も車に押し込んで家に連れてくるとか、俺、こんな風に衝動的な行動とるタイプだったっけな・・・。

思わず頭を抱える。

───昨日、もし道で見かけたのが会社の別のやつだったら家に連れてきたか?いや、男でも女でも駅まで送るくらいだったかも。彼女のことは、心配で心配で、自分がどうにかしたいって思ってしまう。もっと俺に頼ってほしいと思ってしまう。これは、上司だからとか父性本能とかじゃない・・・。それに自然に触れてしまったりしたし・・・。


「お待たせしました。」

衣緒が戻ってきた。

「・・・ぷっ!あははははは!」

鈴太郎は考え込んでいたにも関わらず彼女の姿を見て思わず笑ってしまった。
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