【女の事件】とし子の悲劇・4~遺恨の破砕波(おおつなみ)
第14話
8月23日に、さよこが雑木林で男たちから集団レイプを受けてボロボロに傷ついた事件が原因で、家庭内は崩壊寸前におちいったようだ。

問題は、さよこのお見合い相手の男性が本当に北海道に行く用事があった否かである!

あとになって、さよこのお見合い相手の男性は北海道に出張に行くとうそついて、川崎・堀ノ内のソープの女の部屋に入り浸りになっていたことが発覚したので、アイツの父親はますます怒り心頭になった。

8月24日のことであった。

さよこのお見合い相手の男性は川崎のソープの女を連れて来た。

男性は『カノジョと入籍した…さよこは始めから意中になかった…ここで暮らす…胎内に赤ちゃんがいるから…』とヘーゼンと口調でアイツの姉と父に言うた。

この時で、アイツの父親は敦賀からアタシの友人と友人の妹夫婦を呼んで、さよこのお見合い相手の男性をソープの女と別れるように説得してくれとコンガンした。

アイツの父親は『(さよこのお見合い相手の男性)くんをソープの女と離婚させた後、とし子さんと再婚をさせる…さよこの心の支えになって欲しいから、もう一度とし子さんに帰ってきてほしい…』と泣いた。

アタシの友人は、アイツの父親に頼まれてアタシを説得するために横浜へ行った。

8月24日の夜9時過ぎのことであった。

アイツの父親に頼まれてアタシの説得をするために、アタシがバイトしているセブンイレブンにやって来た。

友人は、アタシに対して『きよひこさんのおとーさんとおねーさんがとし子にあやまりたいと言うているから、由比ヶ浜へ行ってあげて…』とお願いした。

アタシは、アイツの家に対して怒り心頭になっていたので『拒否するわよ!!』と友人に言い返した。

アタシは、新しく来たお弁当を陳列ケースにならべながら友人に言うた。

「あのね!!アタシはアイツの家のモンがどんな形であやまっても許さないわよ!!アタシをブジョクするだけブジョクした上に、アイツから受けたDVとレイプが原因でアタシのからだはズタズタに傷ついているのよ!!アタシはアイツのお姉とお姉のムコを見たら八つ裂きにしてぶっ殺すから…あんたね、ここは職場なのよ!!居座り続けるのであれば知人の組長を呼ぶわよ!!」
「とし子…ねえお願い…アタシ、きよひこさんのおとーさんとおねーさんから頼まれてここまで来たのよ…本当にとし子にあやまりたいと言うているのよ…」
「あんたはあやまると言う意味が分かっていないわよ…どんなにあやまってもダメなものはダメよ!!口先だけであやまることはたやすいけど、本当にあやまるのであれば心底からあやまらないと意味がないのよ!!」
「分かってるわよ…ねえとし子…とし子の耳にきよひこさんのおとーさんの泣き声が聞こえないの?ねえ…」

アタシは、ひと間隔を空けてから友人に言うた。

「あのクソッタレジジイの女々しい泣き声なんて聞こえないわよ!!泣いたらアタシが戻ってくると思ってうぬぼれているのよ!!由比ヶ浜へ言うといてくれるかしら!!アイツの父親とお姉をのろい殺すと言うといて!!」
「とし子…アタシこのままでは帰れないのよ…」
「帰んなさいよと言うたら帰んなさいよ!!店に居座る気かしら!!」
「居座る気はないよ…このままでは帰れないと言ってるのよ…」
「人の職場に居座って営業妨害をしておいて、悪いと思っていないわね!!」
「思っているわよ…」
「だったら帰んなさい!!」
「帰るわよ…だけど…とし子が由比ヶ浜に行くと言うたら…」
「はぐいたらしい(あつかましい)わねあんたは!!知人の組長を呼ぶわよ!!」
「待って…分かったわよ…帰るからヤクザを呼ばないで…」
「だったら帰んなさいよ!!アタシが言うても動こうとしないのね!!」
「とし子だって、アタシがお願いしているのに聞こうしないじゃないのよ…」
「あんたね!!アタシが由比ヶ浜に行くと言うたら帰ると言うけど、どうしてアタシがアイツの家に行かないといけないのよ!?」
「きよひこさんの家との間にできた深い溝はどんどん広がるのよ…それでもいいの?」
「あんたね!!アタシはあいつからDVとレイプの被害を受けたのよ!!それなのに心神喪失で不起訴になった!!分かっているのかしら!?」
「分かっているわよ…だから、おとーさんとおねーさんがきよひこさんの罪を生きてつぐなうから、とし子にあやまりたいからと言うているのよ…」
「イヤ!!断固拒否するわよ!!アイツの家のモンは八つ裂きにして殺すから!!」
「殺す…とし子…どうして…どうしてなの…」
「あんたね!!アタシはあんたのこともうらみ通すことにしたわよ!!」
「アタシが何したと言うのよ?ねえ…どうしてよ?」
「はぐいたらしいわねあんたは!!アタシは他にも許さないことがまだあるのよ!!」
「とし子…」
「あんた!!高松のデリヘル店にいた時、アタシのなじみ客をドロボーしたから、そのこともふくめてあんたをうらみ通すわよ!!」
「とし子…どうして…友達のアタシに…そんなひどいことを言うのよ…」
「ええ言わしてもらうわよ!!いつのことかは覚えていないけど、アタシのことをいつも指名してくださっているお客様の元へ行こうとしたら、急に他の予定が入った…代わりにあんたが行った…そしたら、おなじみさんはあんたばかりをエコヒイキして、アタシから何もかもを奪い取った!!…だからあんたのことは許さないわよ!!」
「違うわよ!!アタシは、ピンチヒッターで行っただけ…」
「ピンチヒッターなんてキレイゴトを言うな!!」

アタシは、古い方のお弁当を友人に思い切り投げつけた後、友人の顔を平手打ちで思い切り叩いた。

友人は、真っ赤な目をして泣きながらアタシに言うた。

「とし子…どうしてアタシを叩くのよ…とし子とアタシは…姉妹のように何でも話し合えたのに…どうしてなの…あんまりだわ…」

友人は、アタシにきつい言葉を言われた後、泣きながら走って出て行った。

アタシは、冷めた目で泣きながら走って行く友人を見つめた。

同時にアタシは『何やっているのだろう…』と思ってむなしい気持ちに包まれた。

アタシは、この日を境にして気持ちのすさみが加速した。
< 14 / 16 >

この作品をシェア

pagetop