【女の事件】とし子の悲劇・4~遺恨の破砕波(おおつなみ)
第5話
それから7日後のことであった。

敦賀で暮らしている友人の妹さん夫婦が由比ヶ浜の家にやって来た。

アタシとダンナの結婚生活がうまく行かないことを心配して、家族が仲良くなれるようにと高級の松阪牛の霜降り肉を持ってきて、家族みんなですき焼きを作ってみたらどうかなと提案をしたので、アタシは義弟を呼んで一緒に料理を作った。

その日の夜7時に、家の食卓にはアタシとダンナと義弟と義父と友人の妹さん夫婦がいた。

すき焼きができたので、みんなで食べる時が来た。

その前に、義弟に一口食べていただいておいしくできているかどうかを確かめるが、ダンナが急に怒った。

アタシは『かずひこさんにおいしくできているかどうかを確かめたいのよ…』と泣きそうな声で言うた。

その後、義弟に食べてみてと言うた。

義弟が肉をひと切れ取った時に、ダンナはグーで義弟のこめかみを思い切り殴った。

「かずひこ!!」
「兄さん…」
「かずひこ!!オドレはいつからとし子のカレシになったのだ!?」
「違うよ…」
「かずひこ!!」
「あなたやめて!!」
「とし子!!オドレはいつからかずひこのカノジョになった!?」
「あなたお願いだからやめて!!」
「だまれ!!」

ダンナは、アタシを思い切りつき飛ばした後、に力を込めて食卓をひっくり返した。

「オラ!!よくも勝手なことをしやがって!!」

(ガラガラ…ガシャーン!!)

せっかく作った食卓は、粉々になった。

「あなた!!せっかく作ったお料理をどうして粉々にするのよ!?」
「だまれ!!」

ダンナは、アタシを倒した後、身体を思い切り押さえつけた。

「あなたやめて!!」

ダンナは、カッターナイフでアタシが着ているマリンブルーのサマーカーディガンをズタズタに切り裂いた後、白のブラウスを思い切り破って、カッターナイフでインナーをズタズタに切り裂いて、下に着ていた白のブラジャーを力を込めてちぎった。

ダンナは、義父と義弟と知人の妹夫婦に刃渡りの鋭いナイフを向けて『オドレらまとめてぶっ殺してやる!!』と叫んでイカクしたあと、力をこめてアタシを犯そうとした。

「やめて!!やめて!!」
「うるせー!!インラン女!!」
「やめて!!」

この時、義弟が助けに入ったが、ダンナが持っているナイフで左腕を切られた。

「かずひこ!!」
「兄さん、兄さん…」

ダンナは、義弟をかたいもので殴り付けた。

ダンナがめちゃくちゃになって暴れていたので、アタシの友人の妹さん夫婦は近所に助けを求めに行った。

それから40分後のことであった。

鎌倉市内に消防団の詰所のハンショウの音と救急車と救助工作車のけたたましいサイレンが響き渡った。

アタシたちは、救急車で鎌倉市内にある救急病院に搬送された。

救急病院に着いた後、アタシは産婦人科で緊急診察を受けた。

義弟は、外科でケガの手当てを受けたが、かたいもので頭を激しく殴られたので、頭から髄液がもれていたと診断された。

ダンナは、カギのかかる部屋に閉じ込められたあと、五重ロックをかけた。

「出せ!!オレはあのインラン女の被害を受けたのだぞ!!ここから出せ!!」

その頃であった。

診察を終えたアタシは、診察室の入り口の前にあるいすにすわっていた。

その後、義父とアタシの友人の妹さんがもうしわけない表情でアタシの元にやって来た。

「とし子さん…すまない…きよひこ…今から…ケーサツにつれて行く…」

義父は、泣きそうな声でアタシにわびた。

その時に、友人の妹さんのダンナさんが深刻な表情でやって来た。

「あなた…かずひこさんのケガは?」
「傷はたいした傷ではなかったけれど…レイプシーンを直に見たので…心的外傷を受けている…定期的に…ケアを受けるようにと…」
「心的外傷…」

そんな時であった。

静岡に嫁いでいたダンナの3番目の姉がダンナと33歳の娘さんを連れて帰ってきた。

義姉(3番目の姉)は『おとーさん!!話があるのだけど!?』と怒鳴ったあと、アタシたちに凄んできた。

「何なのだよ一体…今はお話ができないのだよ…」
「うるさいわね!!それよりも、きよひこがまた暴れたみたいね!!」
「分かっているよ…きよひこは落ち着いたらケーサツにつれて行く…」
「今すぐにきよひこを警察署につれて行きなさいよ!!」
「まあまあまあ、落ち着いてください。」

アタシの友人の妹さんのダンナさんは、義姉に落ち着いてほしいとなだめたが、義姉はますます怒り狂った。

「のんびりとお話ができる状態じゃないのよ!!あのねおとーさん!!とし子さんのことで文句があるから来たのよ!!」
「とし子さんにどうして文句があるのだよ…」
「おとーさんは入ってこないで!!とし子さん!!あんたがとし子さんね!!」
「とし子はアタシですが…あなたは?」
「きよひことかずひこの姉です!!とし子さん!!アタシはとし子さんに文句があるから来たのです!!」
「アタシに文句があるから来たって…アタシがどんな悪いことをしたと言うのよ!?」
「あんた、おとーさんにほめられたからと言って、おだてに乗っていたからきよひこの怒りを買ったのよ!!」
「アタシは…おいしいごはんを作ってあげたいから…」
「何なのよあんたは!!都合が悪くなったらそうやって泣いて哀れみを乞うて許してほしいと言うているじゃない!!」
「やめてくれよ…」
「あなたはだまってなさい!!娘のお見合いがやっと終わって、あとは返事を待っている時に…」

アタシは、頭の中で大パニックを起こしていたので、わけがわからなくなった。

義姉はアタシの前に33歳の娘さんを出して、アタシに凄んできた。

「アタシの長女よ…娘は今までに200回お見合いをしたのよ…200回お見合いをしたのに、全部断られているのよ…3日前にお見合いをしたばかりよ…明日、先方さんから返事が来るのよ!!」
「お母さん、やめて!!」
「やめないわよ!!お母さんは、あなたの幸せを守るために必死になっているのよ!!おじさまがまたお嫁さんにきつい暴力をふるって問題を起こした上に、とし子さんはお母さんの実家にいらないことをしたのよ!!」
「義姉さま!!あんまりだわ!!娘さんのお見合いが破綻したら、アタシが悪いと言うのですか!?」
「とし子さん!!娘のお見合いが破綻したその時は、全部とし子さんが悪いのよ!!」
「やめろ!!」
「あなたは入ってこないで!!」

義姉はなおも怒り狂っていたので、アタシの友人の妹さん夫婦もお手上げになった。

アタシは…

ダンナからきついレイプの被害を受けて…

ボロボロに傷ついているのに…

どうしてアタシが悪いと言うのよ…

アタシは、ガマンの限度を超えたので、離婚をすることを決意した。
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