【女の事件】とし子の悲劇・4~遺恨の破砕波(おおつなみ)
第7話
2025年8月1日の朝のことであった。

アイツの家の食卓に集まっているのは、アイツの姉夫婦と長女とかずひこさんと父親の5人であった。

テーブルの上には、あじの開きときんぴらごぼうとひじきとたくあんづけが置かれていた。

かずひこさんは、すねた表情を浮かべていた。

アイツの父親は、心配になってかずひこさんに言うた。

「どうしたのだかずひこ…せっかくさよこさん(アイツの姉の長女)がおいしい朝ごはんを作って下さったのに、いい顔ができないのか…ほら、温かいごはんとみそしるをついでくれる人がすぐ近くにいるじゃないか…」

アイツの父親の言葉が気に入らないかずひこさんは、朝ごはんを食べずにカバンを持って家を出た。

「かずひこ!!朝ごはんくらい食べろ!!」
「おとーさん!!」

アイツの姉は、父親に怒った口調でこう言うた。

「おとーさん!!とし子さんが家出した後はさよこがごはんを作っているのよ…ごはんを作ってくれる人がいないと困ると言うたのはおとーさんでしょ!!」
「困るよ…」
「だったら、今の状況を受け入れなさいよ!!」
「しかしだな…」
「おとーさん!!今はさよこの結婚のことに向いてください!!」
「分かっているよ…それより、さよこは結婚後はどうするのだ?」
「うちに男の子がいないから、ムコをとることにしたわ…入籍後はここで暮らします…ダンナもそうしたいと言うているのよ!!」
「しかし、かずひこにあんまりきついことを言わない方がいいと思うけど…」
「おとーさん!!かずひこはいじけた表情をしているからお嫁さんが来ないのよ!!仕事の技術をみがこうと言う気持ちがないからお給料が上がらないのよ!!少ないお給料だから結婚ができないと言うから、アタシたち一家は静岡での暮らしをやめてこっちへ帰ってきたのよ!!」
「分かっているよ…」
「分かっているのであれば、さよこの結婚に向いてよ!!さよこのお見合いがまとまったから、結婚準備に入るのよ!!さよこのむこさんになる人は、超一流大学を主席で卒業して、大手総合商社の管理職で、年収5000万円よ!!資格特技もあって、男らしくて女性にモテモテの超ハンサムで、お兄さまふたりは防衛省のエリート幹部と外務省のエリート外交官よ…かずひこは資格も特技もないから、箱の折りたたみと製品を箱詰めするだけしか仕事ができないからお給料が少ないのよ…(急にやさしい声で言う)お給料が多い方がいいよねぇさよこ…」

さよこは、アイツの姉の問いかけに対して『お給料が多くて、ハンサムで強い人と結婚したい。』と答えた。

「ほら、さよこもお給料が多い人と結婚をしたいと言ってるわよ…そうでしょおとーさん…」

アイツの姉は、父親にクドクドと言いたい放題言うたので、うんざりとした表情を浮かべた。

午前8時過ぎに、アイツの姉のダンナは会社へ、娘はバイト先のファストフード店へ出勤した。

アイツの父親は、会合があると言うて家を出た。

アイツの姉は、たまっている洗濯物が入っているかごを洗濯機のところへ持って、洗濯しようとしていた。

それから50分後のことであった。

アイツの姉は、洗濯機の中から洗濯物を取り出して洗濯物を干していた。

アイツの姉が、洗濯物を干していた時であった。

洗濯物の中に、アイツに思い切りちぎられて金具が大きく破損していたアタシのブラジャーが混ざっていたのを見たアイツの姉は、顔が真っ青になった。

アイツの姉は、5秒でケロッとした表情に戻ったあと、そのまま例のブラジャーを干した。

しばらく時間が経過した時であった。

キンリンの奥さまが例のブラジャーを見たので、近くにいた奥さまに話しかけて行った。

例のブラジャーは、大きな災いが発生する暗示であった。

この時、ジワジワと遺恨の破砕波(おおつなみ)の恐怖がアイツの家族に押し寄せていた。

最初の第1波は小さな波でも、やがて大きな災いを起こす津波が押し寄せてくると言うことにアイツの家の家族は気がついていない。

これより、アイツの家庭崩壊劇が始まる。
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