それつけたの、俺だよ?-六花の恋ー【完】【番外編2完】
「千波さんのお父さん」
玲哉くんが少し身を引いて、畳に両手をついた。
「どうか、千波さんとお付き合いすることをおゆるしください」
玲哉くんの言葉を聞いて、わたしも玲哉くんの隣に移動した。
わたしは黙ったまま、お父さんに頭を下げた。
お父さんは少し黙っていたけど、長く息を吐き出した。
「……はあ。やっぱり娘を持つとこうなるのか……」
……ん? どういう意味?
顔をあげると、お父さんは天を仰いでいた。
それから玲哉くんの方を見ると、手を畳から自分の膝に戻して口を引き結んでお父さんを見ている。
お父さんはすぐにわたしたちの方に視線を戻した。
「玲哉くん。この前は失礼な態度を取りました。すまなかった」
「いえ。父の関係で色々言われることはありますから」
「そう、なのか……。なんかわかるけど。いやそれより。玲哉くんは、千波のことが好きなのか? 君みたいな、性格もいいし俺のひどい言葉にも怒らないし更にイケメンだから相手なんて選び放題だろう。千波で本当にいいのか?」
父よ。言いぐさよ。わたしも思ったことだけどさ。
玲哉くんはゆっくり首を横に振った。
「俺はずっと、千波さんを探していたんです。本当にずっと……やっと出逢えたんです。俺には千波さんしかいません」