それつけたの、俺だよ?-六花の恋ー【完】【番外編2完】
……うん。玲哉くんは、いつもそう言ってくれた。
見た目のコンプレックスから恋愛にネガティブになっていたわたしを、まっすぐに見てくれた。
「それは、運命とかそういう意味か?」
お父さんが軽く首を傾げながら言った。
お父さんの口から聞くには不思議な言葉だ……。
玲哉くんは少しだけ微笑む。
「運命であっても運命でなくて、俺は千波さんが好きです。……それだけです」
「――よく言った、玲」
⁉ いきなり和室のふすまが開いたと思ったら、玲哉くんとよく似た面差しの男の人が立っていた。
「げ⁉ 今度こそ藍田先輩⁉」
げ、って、父よ。そしてやっぱり玲哉くんのお父さんなのか。
「いきなりだが邪魔しているぞ、坂野」
「あ、は、はい……。でもどうして先輩が……」
お父さんがめっちゃビクビクしている。いっそ面白い。
「嫁に頼まれてな」
? つまり玲哉くんのお母さんだよね? どういうことだろう……。