イケメン男子と疑似恋愛⁉︎


「私は、まだこんなに好きなの。あんな理由で別れられるわけないじゃん」


えっ……

まだ好き…?

別れられるわけない…?

……じゃあ、二人は付き合ってるの……?


「それは俺も悪かったと思ってる。でも、だからって学校まで押し寄せるのはおかしいって思わない?」

「だってそうじゃないと会ってくれないでしょ」


二人のやりとりを少し離れた茂みから見ている私。

途中からしか聞いていなくても何を話しているか、はっきりと分かる。

そのせいで、ズキズキと痛む心。

頭が鉛のように重たくて、このあたりの空気が薄く感じて息が吸いにくい。

どうして私こんなところにいるんだろう。

向葵くんが気になってあとをついて行かなければ、こんなことを目撃せずに済んだのかもしれないのに。

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