イケメン男子と疑似恋愛⁉︎


学校の目の前だということを忘れて、女の子は、向葵くんばかりに夢中になっているようだった。

私は、それを隠れて見ていて。

ぎゅっと唇を噛みしめる。

……向葵くん、なんて答えるんだろう。

ドキドキとズキズキが混在する。

まるで全身が心臓にでもなったような感覚。


「ねぇ、三浦くん。どうなの?答えてよ!」


女の子が、もう一度問う。

その声は今にも泣いてしまいそうな声で。

それを聞いている私までも苦しくて、泣いてしまいそうになる。

これ以上見ていることができなかった私は、ぎゅっと目を閉じた──


「………いるよ。」

向葵くんの声が聞こえた。

その声に驚いて「えっ…」と言葉を失う女の子。

その子が今、どんな表情をしているのか想像ができた。


「……好きな子いないんじゃなかったの?」

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