イケメン男子と疑似恋愛⁉︎
私がドキドキとしている間も『スー、スー…』とリズム正しい寝息が聞こえてくる。
向葵くんは眠っていて、私だけが起きている。
私だけが、この状況に混乱する。
変に意識してしまう。
こんなときどうすればいいんだろう、なんて考えられるはずもなくて、ひたすらこのドキドキと戦うのみ。
(…うう〜、どうしようっ……!)
心の中ではジタバタ走り回る私がいるけど、実際の私は、身動き一切取れずに、ひたすら左肩にある小さな重みに耐えている。
少しずつ、少しずつ、そこから熱が伝わるように、じんわりと温かくなる左肩。
それを感じ取ると、カァッと熱くなり、それが全身に連鎖していくように、顔も手もつま先までもが熱いような気がしてくる。