こんな溺愛、きいてない!

「最初にこの写真に
気が付いたのは、
遥さんだったんだよ」


「で、でも、どうして、遥先輩が?」


「その写真が出回ってすぐに、
遥さんから凛花なんじゃないかって
連絡をもらった。

その頃、俺、仕事はじめたばっかで、 
社長から遥さんのこと
紹介されて。

遥さんがその写真を
事務所にもってきたんだよ。

それで、うちの社長も、
その写真が凛花だって気づいた」


そ、そんなこと、
全然言ってなかったのに……


青ざめる私に、

視線を落としたまま
遥先輩が口を開く。


「この写真が凛花だってことを確認して、
改めて調べてみたら
ひどい書き込みがネットに溢れてた」


「ひどい、書き込みって……?」


その問いに答えることなく、
遥先輩は静かに話し続ける。


「こういう写真一枚が、
素人をアイドルにまで
押し上げる時代なんだよ。

いち早く
この写真に写っているお前の身元を
明かして、売り出そうって奴もいれば、

もっといい写真をとって、
売れる前に
ネットで盛り上げようって奴もいる。
それだけじゃない」


心臓が嫌な音を立てて
指先から全身が震えていく。


それは、ずっと知らない誰かに
見られてたってこと……?


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