近くて遠い私たちは。
丁度私は今座っているソファーから、正面に立つサクを見上げて言った。サクが手にした棒アイスが私の熱で溶けそうな気さえした。
私の真剣な目と紅潮した頬を見て悟り、サクは不服そうに口元を歪めた。
「お前シュミわりーな」
どうにもやるせ無い表情と目付きでサクは本当に微かに、力なく笑った。
「悪いけど……。俺にとってお前は妹だし。女としては見れない」
素っ気なく私から目を逸らし、兄貴はそのまま自分の部屋に引っ込んだ。
最初から振られるのは想定内だったけれど、私は私の気持ちにちゃんとケジメをつけた、だから後悔などしていない、そう強く言い聞かせて涙を飲んだ。
悔しかったし、悲しかった。
一体何年越しの想いだと思ってるのよ、とサクをなじってやりたかった。もっと言い方ってものがあるでしょう、と。
あの時この場所で、キッパリと諦め切れていたら楽だったのに。私の恋心は今でも根強く心の奥底に張り付いていて、息を潜めている。
サクを見るたびに、喉の奥で何かがつかえたように息苦しくなり、甘美な気持ちが湧いてくる。それと同時に胸の奥をチリチリと灼かれる痛みが同じ場所で燻っている。
住む場所が変われば、別々に暮らせば、いつか風化するのかもしれない。そう思うのに、サクはどういう訳か定期的にフラッと実家に帰って来るのだ。
私の真剣な目と紅潮した頬を見て悟り、サクは不服そうに口元を歪めた。
「お前シュミわりーな」
どうにもやるせ無い表情と目付きでサクは本当に微かに、力なく笑った。
「悪いけど……。俺にとってお前は妹だし。女としては見れない」
素っ気なく私から目を逸らし、兄貴はそのまま自分の部屋に引っ込んだ。
最初から振られるのは想定内だったけれど、私は私の気持ちにちゃんとケジメをつけた、だから後悔などしていない、そう強く言い聞かせて涙を飲んだ。
悔しかったし、悲しかった。
一体何年越しの想いだと思ってるのよ、とサクをなじってやりたかった。もっと言い方ってものがあるでしょう、と。
あの時この場所で、キッパリと諦め切れていたら楽だったのに。私の恋心は今でも根強く心の奥底に張り付いていて、息を潜めている。
サクを見るたびに、喉の奥で何かがつかえたように息苦しくなり、甘美な気持ちが湧いてくる。それと同時に胸の奥をチリチリと灼かれる痛みが同じ場所で燻っている。
住む場所が変われば、別々に暮らせば、いつか風化するのかもしれない。そう思うのに、サクはどういう訳か定期的にフラッと実家に帰って来るのだ。