若葉マークが外せない~政略結婚の落とし穴~
初めてだらけの新婚生活
 只今の時刻は、夜中の1時過ぎ。新居であるマンションの大きな窓から見えるスカイツリーも綺麗な夜景も、今は悠長に眺める余裕はない。

「ちょ、ちょっと待っ……」
「待たない」

 (わたくし)花菱(はなびし)風花(ふうか)改め、春日部(かすかべ)風花、24歳。只今、人生最大のピンチを迎えております。

「むっ、無理っ。そんなの入ら……」
「大丈夫。こんだけ濡れてりゃ」
「そんな問題じゃ……」

 そもそもついさっきファーストキスを済ませたばかりなのに、いきなり初エッチだなんて私にはハードルが高すぎる。それもこれも全て自分が蒔いた種だとは言え、まさか、こんなことになるだなんて思ってもみなかった。
 本当ならば今頃、ファーストキスも初体験もとっくの昔に終えているはずだった。なのに、この歳にもなってキスやエッチどころかまともに恋をしたこともないだなんて、神様。いったい私が何をしたって言うんですか。

「やめてって……ば、あんんっっ」
「大丈夫大丈夫。ほら、もう先っぽが入った」

 何が優しくするからだ。嫌だって言ったらやめてくれるって言ってなかった?

「やあっっ、痛……」
「痛くない痛くない。ほら、ここ気持ちいいでしょ? ここも弄ってあげるから」

 やりまくりのあなたと違って私は初めてなんだから優しくしてよ。嘘つきで口だけの初めてのお相手にしがみつきながら、私は彼の背中に爪を立てた。
< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop