女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「ん、アキ」

「悪いな。起こしたか」

 パソコンに向けていた顔から、目だけを寄越した晶は、眼差しが優しかった。

 体を起こすと、体にはコートがかかっていた。

 ジャケットはソファの上に置かれ、帰ってから部屋に戻ってもいない様子に気付く。
 寝ぼけて「離れたくない」と口走った記憶が蘇る。

「ごめんなさい。ご飯、食べられました?」

「いや。ハルもまだだろ」

「はい。居眠りしちゃったみたいで。なにか食べられるものを」

「いいよ。俺は。ハルは空いてるのか」

「そんなには」

「それなら、ここにいろよ」

 パソコンから手を離し、頭を数度撫でてから、唇に軽くキスをする。

「あと少しで終わるから」

 甘くて、とけてなくなりそう。

「背中」

「ん?」

「邪魔にならないように、背中にくっついていていいですか?」

「まあ、いいけど」

 ソファの背もたれと晶の間に無理矢理入って、晶の体に腕を回す。
 すると、わざと晶が後ろに体重をかけてきて、慌てふためいた。

「つ、つぶれます!」

「ハハッ。つぶれたら困るな。もっとキスしたいし」

 さらりと告げられる、甘い時間の予感。
 気恥ずかしくなって、背中に顔をうずめた。
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