さくらいろの剣士1
「鈴鳴中学校から来ました。鬼城さくらです。」
そう言った瞬間、新しいクラスメイトたちがざわめいた。
3クラスしかない海南中の新2年生は「全員知り合い」といった感じた。
小学校もみんな同じらしい。
「鈴鳴の鬼城って、剣道部のだろ?新聞で見た。」
「うん。強いんじゃなかったっけ?」
「正影、どのくらいのレベル?」
急に聞かれて困っている。もともとあまり喋らない彼は、ボソッと答えた。
「去年の夏、全中個人戦2位だった。」
「えっ!そんなに!?」
前よりもざわめきが大きくなった。
凌太のやつ、なんで正直に言っちゃうの?
私は凌太をにらんだけど、目も合わなかった。
「じゃあ、空いてる席に座って。お?正影の隣でいいじゃん。鬼城、あそこね。」
凌太の隣ってだけでもうんざりなのに、明るく笑う担任は、顧問の宮本先生だ。
「中途半端な時期に、複雑な家庭の事情で転校してきた、かわいそうな子」への配慮らしい。
悪いけど、全くありがたくない。
凌太とは、登下校も帰る家も、食べるご飯も同じなのだ。
黙って彼の隣の席に座る。
先生が何か話し始めたが、全然聞く気になれない。みんなからの視線が痛い。
海南中学校は、生徒の数が鈴鳴中の半分くらい。
「海の南」と書くだけあって、窓からきれいな海が見える。
転校したと言っても、同じ県の同じ公立中学校。あまり変化はない。
鈴鳴のみんなは、今ごろ何を考えているのだろうか?5月の始めに急に転校した私は、どう思われているのだろう?
私だって、海南に来たくて来たんじゃない。この間まで、普通の中学生だったのだ。
そう言った瞬間、新しいクラスメイトたちがざわめいた。
3クラスしかない海南中の新2年生は「全員知り合い」といった感じた。
小学校もみんな同じらしい。
「鈴鳴の鬼城って、剣道部のだろ?新聞で見た。」
「うん。強いんじゃなかったっけ?」
「正影、どのくらいのレベル?」
急に聞かれて困っている。もともとあまり喋らない彼は、ボソッと答えた。
「去年の夏、全中個人戦2位だった。」
「えっ!そんなに!?」
前よりもざわめきが大きくなった。
凌太のやつ、なんで正直に言っちゃうの?
私は凌太をにらんだけど、目も合わなかった。
「じゃあ、空いてる席に座って。お?正影の隣でいいじゃん。鬼城、あそこね。」
凌太の隣ってだけでもうんざりなのに、明るく笑う担任は、顧問の宮本先生だ。
「中途半端な時期に、複雑な家庭の事情で転校してきた、かわいそうな子」への配慮らしい。
悪いけど、全くありがたくない。
凌太とは、登下校も帰る家も、食べるご飯も同じなのだ。
黙って彼の隣の席に座る。
先生が何か話し始めたが、全然聞く気になれない。みんなからの視線が痛い。
海南中学校は、生徒の数が鈴鳴中の半分くらい。
「海の南」と書くだけあって、窓からきれいな海が見える。
転校したと言っても、同じ県の同じ公立中学校。あまり変化はない。
鈴鳴のみんなは、今ごろ何を考えているのだろうか?5月の始めに急に転校した私は、どう思われているのだろう?
私だって、海南に来たくて来たんじゃない。この間まで、普通の中学生だったのだ。