もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「今日はやめておこう。明日になったら思い出すかもしれないし。」
優しく微笑みながら恭が私を見下ろす。

「久しぶりだな。鈴。」
「そう・・・?」
「あぁ。一か月。・・・一か月だよ。鈴と会わなかったのは。」
私は急に睡魔に襲われて何度か瞬きをした。
「薬飲んで、少し眠ろうな。」
恭が私の頭を撫でる。

その手が優しく温かい。

「長かったよ。この一か月・・・。」
「・・・」
「鈴は・・・もう一部だったんだよな・・・・俺の・・・」
「・・・」
「勝手な話だよな・・・こんなの・・・」

夢の世界に入る前にそんな言葉が聞こえた気がした。
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