死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。
怜央と一緒にベッドを分け合って寝ていたら、すぐに朝になった。
俺が痩せてるから、怜央とベッドを分け合っても狭くないんだよな。
「んー」
身体を起こして、ベッドから降りる。
今日は何をしようかな。
怜央の親は俺が停学なの知らないから、学校に行くふりをして怜央と一緒に外に出て、その後は何をして暇を潰そう。
奈々と遊びたいけど、今遊んだら絶対虐待のこと聞かれるんだよな。そしたらどうしたらいいんだろう。
「ん」
怜央がゆっくりと身体を起こす。
「おはよー怜央」
「ああ、おはよう」
目を擦りながら怜央は呟く。
「怜央、今日学校行く?」
「もしかして、休んで欲しいのか?」
ニヤついた顔で、怜央は言う。
「うん。だって俺、怜央が学校行ったら、独りになっちゃうし。でもそんなことしたら、怜央叱られるよな」
親とか、担任に。
「まあそんなの大した問題じゃないけどな。俺はいいよ別に。学校休んでも」
「……いやいいよ。学校行って。怜央が叱られるの俺が嫌だから」
「そうか? わかった。じゃ、俺、朝飯取ってくるよ。多分もう作ってくれてると思うから」
「うん、ありがとう。ごめん、俺の怪我のせいで、ダイニングで食べれなくて」
ダイニングで食べると腕に怪我をしてるのがバレてしまうから、怜央の部屋で食べるしかないんだよな。
「気にすんな」
怜央が部屋を出て、ダイニングまで怜央のお母さんが作ってくれたご飯を取りに行く。
「あづ、ドア開けて」
三分もしないうちに、怜央は戻ってきた。
「うん」
俺はすぐにドアを開けた。
ドアの前にいる怜央はおぼんを持っていて、そこにはハムエッグが置かれた皿と白米が入ったお茶碗と箸が二つずつあった。
「ありがとう」
俺の言葉に頷いてから、怜央はおぼんを部屋の中央にあったテーブルに置いた。
「後飲み物取ってくるけど何がいい? お茶か麦茶かオレンジジュース」
「麦茶で」
「意外。あづ、オレンジジュース飲みそうなのに」
「オレンジュースは嫌いじゃないけど、飲みたくない」
オレンジジュースは小さい時に顔にかけられた記憶があるから、好きじゃないんだよな。オレンジジュースの味自体は嫌いじゃないから、時々飲みたくはなるけど、その度に母さんが俺の顔にオレンジジュースをかけた時のことが頭によぎって、飲むのをやめてしまう。
「そっか、りょーかい」
怜央は俺に何も聞かなかった。
多分、俺が言いたくないのを察してくれたんだと思う。
「ありがとう。聞かないでくれて」
「ああ。じゃ、ちょっと待ってて」
「うん」
俺が頷くと、怜央はまたダイニングに向かった。
俺も手伝いたいのは山々なんだけど、怪我がバレないためには、ここで待ってるしかないんだよな。
怜央は二分もしないうちに二人分の飲み物を持って戻ってきた。
怜央がテーブルに飲み物を置いてから、俺達は床に座り込んで朝食を食べた。その後、俺は制服に着替えて、怜央と一緒に学校にいくフリをして、怜央の家を後にした。
昨日制服で怜央の家に行ったおかげで、学校に行くふりをすることができた。