恋って西洋風グミの味?
「でさ、何時にどこ行けばいいわけ?」

「あーそうだな、土曜日の夜だから、学校は終わってるし、俺はバイト休みだし、どうする?どっかで待ち合わせていくか?」

「当然だよ。知らない人ばっかりの中でポンっと輪に入れるかって言われたら、いくらあたしだってそんなことできないよ。」

あはは、と笑って神菜が答えた。

「場所はここの近くの居酒屋だから、あそこの駅前の広場で夜7時に待ち合わせなんだ。」

「そっかー何かドキドキする。」

「なんで?」

「だって知らない人ばっかりだし、あたしお酒飲めないし。」

「や、待て、うちの飲み会は超体育会系で、未成年は酒禁止なんだよ。」

「わ、すごいね、その徹底ぶり。てゆーか大槻のバイトって何?知らないわ、そう言えば。」

「…プールの監視員」

「え?何それ?!」

「だからプールの監視員!」

あはははは、と声をあげて神菜が笑った。

「似合わなーい!!!」

「そう言われると思ったよ。」


こんな会話をしていたら、まるでそこら辺にいる恋人同士と大差ないんじゃないだろうか。
勝手に一人そう思いながら会話していた。

だけど、根本的に神菜は俺に興味がない。

だからこんな他愛ない会話も、恋人同士の会話、なんてものには程遠いのだ。

ちょっとでも浮かれると、すぐそこに現実が見える。

その事実が、きつく感じられた。

相手が何も思っていないことを痛感させられることほど辛い事はない。
嫌いよりもひどい事は無関心だ。

まぁ、無関心とは言えないだろうけどな。
でも、それに近いものはあるんじゃないか…?
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