俺様社長は溺愛本能を隠さない
──都筑さんのマンションで、部屋に入って早々、私達は崩れ落ちてキスをした。
初めて入った彼の部屋は、広いことだけはわかるが、この体勢では全体像は全く見えない。
荷物は足元に転がり、貪り合いながらお互いに上着を脱いでいく。
もう深夜三時だ。
眠ってもおかしくないはずなのに、私達はどちらも目の前のことに夢中になっていた。
「有村……」
シャワーを浴びたくても、キスが途切れて熱が冷めるのが嫌だった。
かといって、このままベッドへは直行するのは無理。
悩みながらキスを続けていると、都筑さんは「一緒にシャワー浴びる?」と聞いてきた。
一緒には浴びない!
そう首を横に振ると、彼はキスを一旦止めて、笑った。
「……シャワー浴びたら、キスしながら、寝てもいいですか」
キスを止めたことで眠気が襲ってきた私は、恐る恐るそう尋ねたが、都筑さんは「え」と顔を歪めた。
「埋め合わせさせてくれないの?」
「今日は疲れちゃって」
もう色々ありすぎて、やっぱりこれ以上ドキドキするのは無理。
「じゃあ一晩中キスしていい?」
「ダメですって、都筑さんも寝ないと……」
「いいだろ」
妥協案に落ち着き、私は男物の着替えとバスタオルを渡された。
……これじゃ余計にドキドキするんですけど。