俺様社長は溺愛本能を隠さない
──シャワーを浴びて、男性物のパーカーに着替えた。
ズボンは大きすぎたため履かずに素足のままだが、パーカーが大きいためちゃんと太ももまで隠れている。
「その格好でキスだけで我慢しろなんて、酷い話だな」
そう言い残して都筑さんもシャワーを浴びに行き、十五分ほどですぐに戻ってきた。
都筑さんのラフな格好も初めて見た。ただのトレーナーなのに見惚れそう。
彼はクイーンサイズのベッドに座った。
これ、有名デザイナーのものだ。都筑さんらしいな。
手招きされ、隣に座る。
しだれかかるように肩を寄せられ、予告なくキスが始まった。
人の家のベッドの上だと、足が別物みたいに震えてポジショニングが上手くできない。
やがて力を抜いて彼のキスに身を任せるしかなかった。
「本当に、キスばっかり……」
キスに限定したのは私だが、都筑さんは今のところそれを誠実に守っていることが不思議でついそう漏らした。
てっきりすぐに崩壊するかと思ったのに。
「消毒してんだよ」
「消毒?」
「巴にさせただろ。その件はまだ俺は怒ってるからな。あいつ、やっぱり秘書はおろしてデザイナーにするから」
あれはさせたんじゃなくて、されたんだってば。
都筑さんてば、ベタな嫉妬するんだから。