俺様社長は溺愛本能を隠さない

「有村が俺に仕事以外のことを聞いてくるなんて珍しいな。何かあったのか?」

少し心配してくれているのか都筑さんは回る椅子ごと体をこちらへ向けた。
仕方ないから、私もそうする。

「いえ……大したことではないですけど。最近婚活を始めたんですが、条件が良いのに恋愛しない男性の気持ちが分からなくて。都筑さんの話を参考にしようと」

「は? 今何て言った?」

「え?」

「何を始めたって?」

「婚活です」

突然、彼の動きが止まった。

え、なんでそんなに呆然と私を見るの?
都筑さんてばこんなに私の目をまっすぐ見てきたことあった?

停止した都筑さんより先に、佐野さんがリアクションをした。

「へえ。有村さん、婚活してるんですか」

「まだ始まったばかりですけどね。親がうるさいんです。来週さっそく会ってみて、続けるかはそれから考える感じですねー」

頑張って、と弾むような声援を送ってくれる四人のデザイナーとは違い、都筑さんはいつまでも私の顔を見て口を半開きにしたまま黙っている。
もう、何!

「……ダメだろ、有村」

やっと口を開いた。

「はい?」

「そんなのダメだろ」

「何がですか?」

「お前は俺に断りもなく恋愛していいわけないだろ」

私と四人は、今度こそ唖然としながら視線を絡ませ合った。

だって、何言ってるのこの人。
本気で。



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