俺様社長は溺愛本能を隠さない

驚きすぎて言葉が出なくなった私に代わり、佐野さんが「社長、それは……」と言いかけたところで、事務所のインターフォンが鳴り響いた。

片目で卓上カレンダーのアポ一覧を確認すると、三十分後にジュエリー大手の『トワイライト・ミシェル』の担当者が、都筑さん宛に来る予定になっていた。

ああそうだ、ここの担当者はやたら早いんだった。
嫌がらせかと思うくらい早く訪ねてくる迷惑な担当者だ。

「私、出てきます」

席を立ち、出迎えに玄関へ向かった。

四人の視線が痛い。

何だろう、さっきの……。
いいや、後で。少し混乱しているけど、とにかく今はお客さんが来たんだから。
お茶出さないとね。お茶。お茶……。

すごいことを言われた気がするけど、一旦忘れなきゃ。

なんだっけ、なんだっけ。

『俺に断りもなく恋愛していいわけないだろ』


──何でだよ!




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