俺様社長は溺愛本能を隠さない

泣き顔を凝視されながら、私は渾身の力を込めて睨んでやった。

今までの三年間は私の勘違いだったと認める。でも今回のことは都筑さんのせいだ。都筑さんが自分の気持ちを勘違いして中途半端な告白なんてしてきたから、私はこんな惨めな思いをするはめになったのだ。

「有村……」

「もう私を振り回すのは辞めて下さい。疲れました」

ところどころ声が裏返った。
自分の涙声にさらに感極まって、止まらなくなる。

近くにいた若林君の服の裾を掴むと、彼は手を握ってくれた。
都筑さんはそれが気に食わないらしく目を細めるが、それは若林君の言ったとおりただの“所有物”。

「おい、若林」

「社長、誤解を解くのが先ですよ。有村さん泣いてるじゃないですか。さっきの言い分ではまるで秘書でいて欲しくて仕方なく告白したように聞こえますよ」

私も言いたいことは同じだったため、黙って都筑さんを睨んだ。
彼は首をかしげた。

「そうだが?」

──もういい。

「え、そんな、社長……いくらなんでも、下手すぎません?」

「若林君、いいよ。ありがとう。もう分かったから」

誤解じゃないってこと。
私は若林君の手を戻し、都筑さんの前に立った。

「都筑さん。お返事が遅くなって申し訳ありませんでした。告白の件はお受けできません。なかったことにしましょう。私も忘れますから」

また社長と秘書に戻るだけだ。

「では、私はお先に失礼します」



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