俺様社長は溺愛本能を隠さない

「社長。これ以上有村さんを振り回すのはやめてあげて下さい。桃木さんを秘書にしたことも、黙って進めるなんて酷いですよ」

「は? どうして若林にそんなことを言われなきゃならないんだ。俺は有村と付き合ってる。お前には関係ないだろ」

ここで若林君は私を見た。

「え、社長と付き合ってるんですか?」

いや、えっと……それはそうなんだけど……。
どうしよう……。

側にいる桃木さんの挑発的な笑顔がやたらと目に入ってきた。
私のことを笑っている。
都筑さんのことを何でも知っているこの人の前で、胸を張って彼女だなんてとても言えそうにない。

「分からない、です……」

苦し紛れにそう言った。

「はあ!? 付き合うって言ったろ! 有村!」

そうなるよね……。
でも一番酷いのは誰かって話よ。
元カノ引き連れてのドライブ帰りに、私のことを彼女呼ばわりされても納得できない。

都筑さんが何を考えてるのか、全く分からない。

< 85 / 110 >

この作品をシェア

pagetop