イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
聞こえてくる押し殺した笑い声は、ひたすら無視。
うつむき気味に、レンゲを超高速で口へ運んでいたら。
「なぁ美弥子」
どこか艶めいた囁きと共に。
彼の身体がわたしの方へ、ぐっと近づく気配がした。
「な……に?」
「禁煙してさ、食欲云々よりももっと大きな変化があるんだけど、聞きたいか?」
「大きな変化……? うん、何?」
な、何だろう?
空気がおいしい? 身体が軽い、とか?
耳元に感じる熱い吐息から意識を逸らすように、必死で考えを巡らせる。
でも、そもそも喫煙も禁煙もしたことのないわたしには、想像もつかない。
ハテナを浮かべつつ目をあげれば、意味ありげなそれとぶつかった。
「妙にさ、口寂しいんだよ。落ち着かない」
「くっくち、さびし……?」
「どうしたらいいと思う、美弥子?」
どうしたら、と問われて、反射的に見つめてしまった彼の唇。
意味もよくわからないままに、男性らしい厚みを持ったそれに触れる瞬間を想像してしまって……かぁっと全身に勢いよく血が巡る。
「ガ、ガムでも噛んでおけばっ?」
「今、何想像した?」
「ううう、うるさいぃっ」