イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

まずい、こんな音程外れた声、意識してますって言ってるようなものだ。
焦れば焦るほど、頬は熱を増していく気がする。

「美弥子って、酒飲んでも全然顔色変わらないくせに、照れるとすぐ赤くなるのな」
「う」
「なぁ、こっち見ろよ。すっげぇ可愛いんだけど」

面白がるような声、頬に伸ばされる手。

「も、やだっ……バカバカっ可愛くないもん!」

ジタバタしながら身じろいで、なんとか逃れようと試みていると。
店員さんや他のお客さんたちが、チラチラこっちのやりとりを注視してることに気づいてしまい……

「もうっみんな見てるってば。人前で揶揄わないでっ」
「2人きりだったらいいわけ?」
「そ、それはっ……むぅ……」

坂田くんって絶対Sだよね?

「くくく……やばいな。ほんと美弥子といると、めちゃくちゃ楽しい」
笑い交じりにぽん、と頭の上に大きな手がのった。

「ほら、のびるぞ」

そのままくしゃっと髪をかき回されて。
胸の奥まで、ふわふわした何かでかき乱されたような心地がした。

……ずるい。

ドSのくせに、時々優しいなんて。
こんなにテンポ狂わされたら、怒れなくなっちゃうじゃない……

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