イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

大げさに顔をしかめる男に「は?」って声を上げそうになったけど、なんとか堪えた。

ぶつかったのはわたしで、悪いのはわたしだから。

「よく前を見てなくて。ごめんなさい」

すぐ謝ったんだけど、相手はこっちを胡乱に睨んだまま。

「なあ、お姉さん。どうしてくれんの?」
「つかさ、病院連れてってよ」

わたしを舐めるように見た後、素早く交わされた2人の視線。
なんとなく不穏なものを感じて、1歩後ずさる。

「車で来てるから、一緒に行こうぜ」
「行くよな? 治療費払ってもらわねえと」

逃げる間もなく、ガシッと両側から挟まれるように腕を掴まれてしまい、喉の奥から悲鳴が漏れた。

坂田くんとは全く違う種類の強引さは、恐怖と嫌悪感しかなくて。
瞬く間に背筋に冷たい汗が滑り落ちていく。

嘘でしょ。
叫びたいのに、声がでない……

周囲に目を走らせるけど、友達同士でじゃれ合ってるだけに見えるのか、誰もこっちを気にしてくれない。

< 139 / 539 >

この作品をシェア

pagetop